Noah ART Clinic武蔵小杉(ノア・アートクリニック)

培養室コラム

第27回 【第66回 日本卵子学会レポート】ポスター発表をしてきました!

みなさん、こんにちは。

不安定な天候が続いておりますが、体調は崩されていないでしょうか。ようやく梅雨入りしたかと思えば、西日本では例年よりも早く梅雨が明け、本格的な夏の到来を迎えています。関東甲信越でも梅雨明け、暑さのレベルが一段階ほど上がるそうです。こまめに水分補給や休息をとって無理をせず、お体に気をつけてお過ごしくださいね。

 

西日本の各地で梅雨入りの発表が聞こえ始めた頃、広島県で行われた日本卵子学会学術集会に参加してきました。今回は、その様子をご紹介したいと思います。

日本卵子学会とは、卵子や精子の形成・受精・胚発生・着床など幅広いテーマを扱っている学会です。今年は66回目の開催で、当日はマウスを用いた基礎的な研究から、採卵時に使用する機器類の比較や人工授精など様々な内容の研究が発表されていました。

私も「原精液における精子の直進性はcIVFの培養成績に影響するか」という演題で、ポスター発表をしてきました。

ざっくりと、ポスター発表の内容をご紹介します。

不妊治療において、精子の数や運動性は有効な治療(AIHやIVFなど)を選択するために非常に重要な指標となっています。

当院では精液検査を行う際に、SMASとよばれる自動解析装置を使用しています。このSMASは精液中の精子の数や運動性を自動で計測してくれる機械です。自動解析装置を導入する前は、動いている精子や止まっている精子を手動でカウントしていました。そして、その数から濃度や運動率を出していましたが、SMASを使うことで濃度や運動率に加えて新たに計測できる項目が増えました。この新たに計測が可能になった項目のうちの1つと受精卵の発生との関係を調べました。

精子の運動性をもとに、2つのグループにわけて受精卵の培養成績を比較しました。

比較した培養成績は以下の3つです。

①受精率 ②胚盤胞到達率 ③良好胚盤胞率

結果は、受精卵が育つ過程には影響していないが、胚盤胞の質には関係している可能性があることがわかりました。

当日はAI技術の導入など、新しい情報が会場で飛び交っていました。(え、そうなの!?と思うことがいっぱいありました。)

医療技術や知識は”日進月歩”と表現されることがありますが、学会はこういった変化をたくさん体感できる貴重な場所だと改めて感じました。

当院でも毎日の業務の中で、できうる限り数値化してデータを収集・分析しています。

みなさまに、より良い治療や情報を提供できるよう、これからも精進してまいります!

 

 

                                                   培養士 小松

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