Noah ART Clinic武蔵小杉(ノア・アートクリニック)

培養室コラム

第6回 体外受精最後のステップ「胚移植」

みなさん、こんにちは。

培養士の小倉です。

 

今回は体外受精の最終段階、移植についてお話したいと思います。

今までのコラムでは、採卵した卵がどのように受精し、どのように発育していくかをお話しました。

その成長した受精卵をお腹の中に戻す手術を移植といいます。

 

移植は、採卵してから3~5日間受精卵を培養して移植する新鮮胚移植と、採卵して3日目または5~6日目で受精卵を一旦凍結して、子宮内膜を調節してから凍結受精卵を融解して移植する凍結融解胚移植の2通りがあります。

当院の患者さんの多くは医師との相談の元、凍結融解胚移植となるのですが、それには2つの理由があります。

〇凍結融解胚移植の方が新鮮胚移植よりも妊娠率が高いこと。

〇採卵周期に新鮮胚移植を行うことによるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の重症化を防ぐため。

です。

 

では、①に関して、なぜ凍結融解胚移植の方が新鮮胚移植よりも妊娠率が高くなるのでしょうか?

考えられる理由はいくつかあります。

ひとつは、採卵周期と異なり、子宮内膜をよりよい状態に調節してから移植ができるので、受精卵を迎える準備がしっかりとできること。

もうひとつは、凍結融解胚移植の多くが、胚盤胞移植であり、新鮮胚移植の多くが初期胚移植だということに関係しています。初期胚より胚盤胞の方が、しっかりと発生してくることを確認してから移植できるので妊娠率が高くなります。

当院の妊娠実績→http://www.noah-clinic.jp/results/

 

しかし、もちろん例外もあり、体外の環境だと胚盤胞までは育たないけれど、初期胚で移植したら妊娠したという方もいらっしゃいます。

年齢や個人の体質にもよりますので、一人ひとりに合った方法を医師から提案させていただきます。

 

 

ここからは実際にどのような流れで移植を行うのか説明させていただきます。

当院の多くは凍結融解胚移植となっておりますので、そちらを例にとって説明させていただきます。

移植当日、8時~10時頃に凍結胚の融解を行います。(凍結胚の融解については、第5回のコラムで詳しく説明しています)

当院の凍結融解による胚の生存率は99%と高水準を維持していますので、安心してお任せいただければと思います。

 

融解後、4~6時間インキュベーターという装置の中で回復培養を行います。

また、融解時、アシステッドハッチング(AHA)希望の方は、AHAを施行します。

AHAは透明帯をレーザーで切開し、胚盤胞が透明帯から脱出しやすいように助けてあげる技術です。胚凍結により透明帯の変質が起こり、胚が脱出しにくくなる胚があるということが報告されておりますので、それを防ぐ目的で行われます。

当院では、2回目以降の移植の方にAHAを勧めております。

 

 

※上の図はあくまで一例となっておりますので、胚の状態によって成長するスピードは異なりますので、ご注意ください。

 

 

移植の際は、私たち培養士が細いカテーテルに以下の図のように受精卵を吸って、ドクターに渡し、ドクターが注入し、移植完了となります。

移植した胚は、早ければ、移植当日から翌日には着床するといわれています。

 

 

 

移植後は、どのように過ごすべきか気にされる方が多いのですが、極端に激しい運動をしなければ、普段どおり生活してもらって構いません。

リラックスしてお過ごしくださいね。

 

移植は、今まで皆さんが大変な思いをして注射、採卵を行い、私たちが大切にお預かりしていた受精卵をお腹に戻すという、最後のステップです。私たちはもちろん、ドクターもナースもその胚に魂を込めて移植を行っています。

皆さんが1日でも早くよい結果が得られるよう、これからもスタッフ一同努めてまいります。

 

LAB小倉

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