不妊治療の流れ
STEP01
排卵誘発剤
月経の3〜5日目から使います。 内服薬(クロミッド)と注射(hMGなど)があります。卵子の発育や成熟を促し、十分な排卵をさせることによって妊娠率の向上を期待します。 誘発剤によって多数の卵胞が発育した場合、1回で複数個排卵する可能性も出ます。その場合「双子」や「三つ子」などの多胎妊娠のリスクが高まります。また複数個が排卵しそうな場合には、卵巣が腫れたり、腹水が溜まる「卵巣過剰刺激症候群」が発生することもあります。ただしエコー検査により、事前に卵胞数を確認できるので、これらの副作用のリスクが高いと判断した場合、その周期の治療を中止することで、副作用を避けることができます。
STEP02
人工授精
男性因子やフーナーテストが不良の場合が一番の適応となります。 またタイミング療法で結果が出なかった場合にも試みることの多い治療法です。 排卵日前に来院していただき、エコー検査により、排卵予定日を予測して人工授精の日程を決めます。 当日、当院または自宅にて精液を採取していただき、その精液を約1時間かけて洗浄・濃縮し、運動精子を集めます。その洗浄濃縮精液を内診台で子宮内に入れます。 処置はすぐに終わるもので、痛みもほとんどありません。
STEP03
体外受精・顕微授精
卵管因子、極度の男性因子、子宮内膜症、原因不明不妊症などが適応になります。
体外受精の流れ
排卵誘発剤
注射の排卵誘発剤を7〜10日間連日使用する方法。
自然周期やクロミッド使用周期で採卵する方法など、排卵誘発にはいくつか種類があります。それぞれ値段も変わりますし、体の負担も変わります。
当院にて体外受精を行なう場合、その時の体調などに応じて相談しながら決めさせていただいています。
採卵
経腟エコー下において、針を卵胞に刺し、卵胞内の卵子の入っている卵胞液を吸引します。座薬や局所麻酔を用いて行うので、採卵後、すぐにお帰りいただけます。
体外受精または顕微受精(並行して行なう場合もあります)
卵子と何十万かの精子を同じシャーレで培養して、自然な受精を待つのが体外受精、ガラス管を用いて精子1匹を卵子1個に入れて受精させるのが顕微授精です。
顕微授精の適応は、運動精子が極端に少ない場合、もしくは受精障害があり、体外受精では受精できないか、受精率が低い場合となります。
一回の周期で多くの卵が取れた場合、体外受精と顕微授精を半分ずつ行なう場合もあります。
アシステッドハッチング
体外で育った胚の中には、自身の力でハッチングができない胚もあり、そういう卵に対して、アシステッドハッチングという人工的に透明帯に切り目を入れる処置を行なう場合があります。
当院での取り組み
より安全な顕微授精を目指して、通常の顕微授精よりさらに拡大して精子を観察し、選別したり、卵子の受精には欠かせない紡錘体と言われる重要な部分を確認できるという最新の設備を導入しています。
精子を拡大して形態を観察
卵子内の紡鍾体
STEP04
胚移植
カテーテルを子宮内に挿入し、受精して育った卵(=胚)を子宮へ戻します。
4細胞(2日目)
8細胞(3日目)
桑実胚(4日目)
胚盤胞(5~6日目)
ハッチング(6~7日目)
受精してから着床までの胚の発育
胚移植後は、胚の着床を助ける意味で、ホルモン剤の服用と注射を行います。移植後約2週間で、妊娠の判定となります。また、移植後に残っている胚があれば、胚盤胞まで培養してから凍結保存することも可能です。
当院では体外受精を行なう場合、治療を開始する前に、ご夫婦で来院していただき、詳細な説明を聞いていただくようにしています。