第19回 体外受精で妊娠出産後に自然妊娠する女性の割合ってどのくらい?
桜の季節になってきましたね。
今年は桜の開花が大幅に遅れているようで、最近は近所の公園を通るたび桜チェックをするのが日課になってます。
さて、治療を受けられている患者様のなかには二人目を希望される方もいらっしゃるかと思います。
そろそろ2人目をと考えたときに、
「一人目も治療によってもうけたし自然に授かることは難しいのかな?」
「どのタイミングで治療を再開するべきなのかな?」
といろいろ悩まれることもあるかと思います。
そんなお悩みの参考になるような論文が昨年発表されたので今回ご紹介したいと思います。
5人に1人の女性が体外受精後に自然妊娠
この論文は英ユニバーシティ.カレッジ.ロンドンが発表した、体外受精での妊娠出産後に自然妊娠した女性の割合を調べたメタアナライシスを用いたシステマティックレビューです。(信頼性の高い論文という認識で大丈夫です。)
1980年から2021年までに発表された条件に合致する英語論文1108件のなかから5180人の女性を含む11件の研究を抽出して調査したもので、
この論文によると顕微授精を含む体外受精を受けた女性の5人に1人がその後自然妊娠しているという結果でした。
この結果は妊娠ではなく出産データのみなので実際はもう少し高い割合の女性が自然妊娠している可能性があります。
自然妊娠した人の指標になり得る条件とは?
その他の興味深い記載内容としては、
①自然妊娠した女性のほとんどは3年以内の妊娠であるということ
②自然妊娠の関連因子として
・母体年齢
・不妊期間が短いこと
・体外受精治療回数が少ないこと
・原因不明不妊であること
などが示唆されるという点でした。
まとめ
5人に1人という割合を多いと受け止めるかどうかは意見の分かれるところだと思います。
ですが、体外受精を受けて妊娠、出産に至るまでの経緯は人それぞれであり、2人目の不妊治療を安易に肯定も否定もすることはできません。
大切なのはまず専門の医師に相談をしてみることです。
そのうえで今回の情報がご夫婦で納得のいく選択をする助けになればとおもいます。
引用文献
”How commom is natural conception in women who have had a livebirth via assisted reproductive twomen who have had a livebirth via assisted reproductive technology? Systematic review and meta-analysis" , Annette Thwaites et al. , 2023