Noah ART Clinic武蔵小杉(ノア・アートクリニック)

培養室コラム

第20回 BMIが妊娠に影響する?卵子の質や卵巣に及ぼす影響について解説

培養士の近藤です。

 

今回は肥満や痩せが、妊娠や卵の質に及ぼす影響についてお話したいと思います。

 

結論から言って、ズバリ!影響します。

 

何となく想像はできていたかもしれませんが、

 

ここからは、どうして影響するのか解説していきます。

肥満は無排卵を引き起こす

肥満はBMI≧25で定義されます。

 

肥満になると、糖代謝異常や脂質代謝異常を来たし、無排卵になることがあります。

 

マウスでの研究ですが、肥満と卵巣機能に関する論文をご紹介します。

 

マウスの実験において、肥満症マウスと加齢化マウスの卵巣で卵巣の間質組織が線維化し、酸化ストレスが生じます。

 

酸化ストレスによって、卵巣間質に存在するミトコンドリア機能が著しく低下、すなわち、卵巣の機能が劇的に低下する可能性があります。

 

 

マウスレベルなので確かなことは分かりませんが、卵巣は肥満によって加齢と似たような状態になってしまう可能性がありますね。

 

痩せすぎによる卵巣機能の低下

また、BMI≦18.5の痩せの場合、エネルギー不足に陥ることがあります。

 

そうなると、生命維持のために排卵に重要な脳の視床下部からホルモンの分泌が抑制され、生殖機能の低下、停止を引き起こし、排卵障害を起こすことがあります。

 

これを視床下部性排卵障害といいます。

 

無理なダイエットによって月経が止まってしまう状態と同じです。

 

さらには、エストロゲンが分泌しづらくなり、卵巣機能が弱まってしまいます。

 

卵巣機能が弱まってしまうと、卵子の質の低下にもつながります。

 

まとめ

肥満や痩せのどちらも排卵障害や卵巣機能の低下を招いてしまう恐れがあるのです。

 

適正な体重を維持することが、妊娠への近道ということですね。

 

でも、気にしすぎてストレスを溜めてしまってはよくありません。

 

無理のない範囲でバランスの良い食生活や適度な運動を心がけてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. Female reproductive life span is extended by targeted removal of fibrotic collagen from the mouse ovary . Takashi Umehara et al.,2022

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