第22回 【夏は精子の力が弱まる?】精子と季節の関係をわかりやすく解説
みなさん、こんにちは!
猛暑日や”危険な暑さ”と表現されるような暑い日が続いていますが、体調は崩されていないでしょうか。
熱中症にならないように、こまめに水分補給を行って無理をせず、お体に気をつけてお過ごしくださいね(*´ω`)
世界中のカップルの約15%が不妊症と言われています。
そして、その不妊症の20-50%は男性側が要因となっています。
男性の生殖能力に影響を及ぼすものとして、年齢や遺伝的背景、生活習慣以外に季節や天候があると言われています。
また、精子の形成は精巣温度に非常に敏感で、夏に精液の質が低下することが多くの研究で報告されています。
こちらの論文では、温度だけではなく湿度や大気圧と精液所見との関連性を検討しています。
季節によって精子の数と運動性が変化した!
アルゼンチンの不妊治療施設で治療を受けた男性を対象に、2-7日間の禁欲期間後、採取した精液の液量・濃度・運動性を測定しました。
ここから、総精子数と総運動精子数を計算して精子が形成された時期を春・夏・秋・冬の4つのグループに分けて比較しました。
この4つのグループおいて、精液の質は冬が良く、夏に悪いという結果になりました。
何故精子の質が変化してしまうのか?
正常な精子形成には、体温より2-7℃低い温度が必要です。
また、精巣は代謝活動が活発で大量の熱を発します。
精子形成に必要な温度を維持するためには、この熱を適切に調節する必要があります。
これらのことから精子の質は季節の影響を受けることが示され、特に温度と湿度の上昇は精液の質に悪影響を及ぼすことがわかりました。
まとめ
今回、ご紹介した論文では精子の質は冬に良いという結果になっていますが、気温が低いほど良いというわけではありません。
精子が低温にさらされると運動性が落ちてしまうため、適した温度(20-25℃)であることが大切です。
人工授精や採卵などで精液をお持ちいただく機会がありますが、その際にも精液が適温であることが望ましいです。
当院では、持ち運ぶ際の温度変化を最小限に抑えるための容器を取り扱っております。
以前、精液を持ち運ぶ専用の容器SEED PODについて紹介した記事はこちら↓
【精子を人肌で温めるのは良くない?】精子を運ぶ時に注意すべきこと
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参考文献
Fluctuations in Seminal Quality throughout the Year: How do Temperature, Humidity and Atmospheric Pressure Impact on Human Sperm Quality?